ゼネコンなどで発注業務を担当している方の中には、RC造の新築工事や開発案件を進めるにあたり、躯体工事を依頼する工事会社はどのように選べばよいか、判断に迷う場面があるのではないでしょうか。
既存の協力会社だけでは対応が難しい。以前依頼した工事で工程や品質面のトラブルがあり、次の発注先は慎重に選びたい。久々にRC造の躯体工事の依頼先を探すことになり、改めてどのような基準で選べばよいのか整理したい。
この記事では、そのような課題を持つ元請会社の発注担当者に向けて、RC造の躯体工事会社を選ぶ際に確認しておきたい施工実績と管理体制の見方について解説します。
目次
RC造の躯体工事会社選びで発注担当者が判断に迷いやすい場面
それは、複数の工事会社を比較しても決め手が見えにくいといったケースです。次のような状況が考えられます。
- 見積金額は近いが、金額以外の違いが分かりにくい
- 施工実績はあるものの、自社の物件条件に合うか判断しきれない
- 発注後の工程管理や品質対応をどこまで任せられるか見えにくい
なぜ迷ってしまうのか。それは、その施工会社が自社の案件に対応できるか、工事を最後まで安定して進められるかどうかを判断するための情報がまだ不足しているからです。
ここで必要になってくるのが、施工実績と管理体制の確認です。

RC造の工事会社選びで施工実績を確認すると安心の理由
躯体工事会社の経験値を判断できる
施工会社の過去の実績件数が多いことは、発注側としては安心材料になります。なぜなら施工実績が多い躯体工事会社であれば、さまざまな現場条件や工事内容に対応してきた経験があると考えやすいからです。
ただここで注意したいのは、実績件数だけでは、発注側が抱える案件とマッチする工事会社かどうかまで判断できるわけではないという点です。その実績の内容を確認することも大切です。
自社が抱える案件に対応できる工事会社か判断できる
RC造といっても、工事会社に求められる対応は案件の内容ごとに異なります。以下のような条件によって、施工管理や工程計画の考え方は変わります。
- マンション、ホテル、テナントビルなどの建物用途
- 階数
- 規模
- 敷地条件
- 周辺環境
- 搬入経路の条件
発注側が抱えている案件の建物用途によっては、設備や仕上げとの取り合いを見据えた管理が必要になります。また、現場の規模が変われば人員配置や工程の組み方も変わります。
そのため、発注検討中の躯体工事会社の施工実績を見る際は、「RC造の実績があるか」だけでなく、「自社案件に近い用途や規模、条件で対応した経験があるか」という観点でも確認するとさらに安心です。
RC造の工事会社を選ぶとき、施工実績のどこを見るべきか
発注を検討している工事会社のHPや、打ち合わせで施工実績を確認してみましょう。とくに、以下のような項目を確認しておくと、発注側にとって、自社の案件や要望に合う躯体工事会社かどうかを判断しやすくなります。
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 建物用途 | マンション、ホテル、テナントビルなど、発注側の案件に近い用途の実績があるか |
| 規模・階数 | 階数や建築面積、施工範囲が自社が依頼したい案件に近いか |
| 対応エリア | 発注側が依頼したいエリアでの施工経験があるか |
| 現場条件 | 現場の規模感(狭小地か否か)、前面道路や搬入条件など |
| 担当範囲 | どこまでの工種や管理業務を担当した実績なのか |
施工実績とあわせて確認したい、躯体工事会社の管理体制ポイント3つ
1. 現場条件を踏まえた工程管理を任せられるか
たとえば、次のような点を確認しておくと、管理範囲を把握しやすくなります。
- 躯体工事全体の工程表を作成・調整できるか
- その工程はトラブルを見越した計画になっているか
- 協力会社との調整や連携をどこまで行えるか
- 資材搬入や車両計画まで考慮して準備を進められるか
例として、敷地が狭い、道路が入り組んでいる、大型車両は通れないといった条件の現場を思い浮かべてみてください。この現場に資材を運ぶ際は、小型車両を使わなければ物理的に搬入できないという制約が出てきます。10トンの資材を運ぶために、5トンを運搬できる車を2回走らせるのと、2トンしか運搬できない車を5回走らせるのでは、単純にかかる時間は全く違います。このような制約を踏まえ、全体工期に影響がでないよう余裕を持って管理できる能力が施工会社には求められてきます。そのため、現場条件を見たうえで無理のない工程管理が可能な会社かどうかを明確にしておくのがおすすめです。

2. 品質検査や是正対応の流れが整理されているか
配筋検査やコンクリート打設前の確認など、品質を担保するための検査項目は数多いです。検査や記録が整っていないまま現場が進むと、トラブルが起きてから説明が必要になったときに発注側の負担が大きくなりやすいです。
だからこそ、発注前には、躯体工事会社がどのような品質管理を行っているのかを確認しておくことが重要です。確認しておきたい具体的な項目の例は以下です。
| 確認する内容 | 発注側が見ておきたいこと |
|---|---|
| 検査の流れ | どのタイミングで、誰が、何を確認するのか |
| 記録方法 | 写真や報告書として、後から説明できる形で残るか作成書類に記入している項目は何か |
| 是正対応 | 不具合があった場合に、誰が判断し、どのように対応しているか対応にかかる時間の目安 |
| 共有資料 | 元請側や施主に説明できる資料は何が用意されるか |
3. 協力会社や資材を手配できる体制があるか
工事会社がどのようなネットワークを持っているかは、工程を守るための鍵となります。たとえば予定していた協力会社が何らかの事情で動けなくなった場合、以下の問題が起きやすいです。
- 代わりの協力会社をすぐに手配できない場合、その間の工程が止まってしまう
- 新たに業者を探したり、契約を調整したりする必要が出て元請側の業務負担が重なる
協力会社や資材会社との広い信頼関係があり、不測の事態に迅速に対処ができる体制がある躯体工事会社に依頼すると、このような問題は起きにくいです。
発注前には、協力会社との連携数、万が一のときに協力会社や資材の手配まで任せることが可能かまで確認しておくとよいでしょう。
RC造の工事会社に相談する前に元請側で整理しておきたいこと
建物の条件や希望工期、依頼範囲が明確でなければ、躯体工事会社側も適切な工程の作成や判断ができません。見積内容や工程計画にズレが出るのを防ぐために、発注時点でできる限り多くの情報を施工会社に提示できる形にしておくのがベターです。
建物用途・構造・階数・規模などの現場条件
マンションなのか、ホテルなのか、テナントビルなのか。RC造の何階建てなのか。建築面積や延床面積はどの程度なのか。これらの情報は、工事会社が自社の実績や対応体制と照らし合わせるうえで重要です。
合わせて、敷地条件もできるだけ整理しておくと安心です。敷地に余裕があるのか、前面道路は広いのか、大型車両が入れるのか、資材置き場を確保できるのかといった情報は工程や搬入計画を立てる際に必要です。
発注側がこれらの条件を整理しておくことで、工事会社も「その案件に対応できるか」「どのような工程が現実的か」を具体的に判断しやすくなります。
希望工期や着工時期
RC造の躯体工事は、全体工程の中でも重要な位置を占めます。着工時期や躯体工事の完了時期があいまいなままだと、工事会社側は人員や協力会社の手配を具体的に計画しにくくなります。最低限、以下を共有できるようにしておきましょう。
- 着工したい時期
- 躯体工事を終えたい時期
しかし、希望工期が短い場合は、現場条件や搬入条件によって、現実的に実現できるかどうかは変わってきます。無理な工程で進めると、品質や安全に影響が出る可能性もあります。
発注前の打ち合わせでは、希望工期を伝えたうえで、その工期が現実的かどうか、どのような条件であれば対応できるのかも含めて相談することが重要です。
依頼したい工事や対応範囲
躯体工事といっても、どこまでを工事会社に依頼できるのかはその工事会社の対応範囲によって異なります。
- 鉄筋、型枠、コンクリート、左官補修などの工種をどこまで任せたいか
- 施工図や検査資料、各種手配、品質検査への対応など、工事以外の管理業務をどこまで依頼に含めるか
このような情報を整理しておけば、躯体工事会社が対応できる範囲と照らし合わせて、「どこまでを施工会社に任せて、どこから発注側で対応するか」を現実的に考えやすいです。

RC造の工事会社は実績と体制の両面から判断する
RC造の躯体工事の発注先を検討するときは、見積の比較だけでなく、以下の項目にも目を向けて、自社の案件と相性が良い躯体工事会社かどうかを今一度、確認してみてください。
- 施工実績:その会社が過去にどのような案件に対応してきたかを知るための材料
- 管理体制:発注後の工程遅延や品質トラブルを防げる会社か確認するための材料
発注前の段階で実績と体制を丁寧に確認しておくことは、着工後の調整負担を減らし、工程と品質を守ることにつながります。あなたの発注判断が、現場の工程を守ることや、業務負担の削減につながるものとなるよう願っています。
執筆:春日燦(IT事業部)
監修:宮﨑晃司(施工管理部・品質管理部/安全衛生部)