躯体工事の品質管理を徹底解説

はじめに

建物の骨組みを形成する躯体工事(RC造)は、完成後の耐震性や耐久性、資産価値を左右する非常に重要な工程です。
鉄筋やコンクリートのわずかな不具合が、ひび割れ・漏水・耐震性能低下など重大なトラブルを招く恐れがあります。
そのため、耐久性が低下する要因を把握し、品質管理の流れを理解して適切にチェックすることが不可欠です。
本記事では、RC造躯体工事における品質管理の基本を詳しく解説します。

目次

RC造躯体工事における品質管理の重要性

建物性能を根本から支える

躯体工事は、柱・梁・床・壁など構造体をつくる工事です。ここで品質を確保しなければ、仕上げ材や設備がどれほど高品質でも建物全体の寿命が短くなる可能性があります。

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施工不良は大きな損失に直結

躯体の欠陥は後工程での修正が困難です。
補修工事や追加工期、引き渡し遅延による損害賠償など、デベロッパーにとって大きなコストリスクとなります。

法令・監理義務との関係

建築基準法や監理者による中間検査・完了検査に適合するためにも、日常的な品質管理体制が重要です。

躯体工事の品質管理フロー

躯体工事は複数の工程に分かれ、それぞれで細かい品質管理が必要です。
以下は一般的なRC造マンションを想定した流れと主な管理項目です。

工程主な管理項目
着工前施工図・配筋図の確認、材料試験
配筋検査鉄筋径・本数・かぶり厚さ、定着長さ、補強筋位置
型枠検査寸法精度、水平・垂直、漏れ防止、緊結状態(※1)
コンクリート打設スランプ値(※2)、温度、打込み・締固め方法、打継ぎ面処理(※3)
養生・脱型湿度・温度管理、初期強度確認、脱型時期の判断
仕上げ検査ひび割れ・ジャンカ(※4)の有無、表面精度
記録・報告写真、強度試験結果、施工計画との照合

品質管理の主要ポイント

配筋検査

鉄筋は建物の強度を支える骨格です。
図面どおりに鉄筋が配置されているか、かぶり厚さ(鉄筋とコンクリート表面の距離)が規定通り確保されているかが重要です。現場では写真撮影による記録と、監理者・第三者機関による立会い確認が必須です。

型枠精度

型枠の歪みや締め付け不足は、打設後の寸法不良やコンクリート漏れを引き起こします。
レーザー計測などで水平・垂直を測定し、打設前に最終確認を行います。

コンクリート打設

  • スランプ値(流動性)
  • 打込み温度
  • 締固め(バイブレータ使用)

これらを計画通りに管理します。気温や打設時間に応じた調整も求められます。

優れたコンクリートの条件

コンクリートの耐久性や施工性の良し悪しは、躯体工事の精度や建物の品質に直結します。

  • ワーカビリティ
    運搬や打設、締固め、表面仕上げなどの作業のしやすさ(=施工性の高さ)を指します。これは材料の配合バランスなどによって左右されます。例えば水が多すぎると材料分離が起こりやすくなり、作業の質を落としてしまいます。
  • コンシステンシー
    コンクリートの硬さや粘り気を表します。これの代表的な測定方法はスランプ試験。コンクリートをコーン型の容器に入れてから容器を抜き、頂部がどれだけ下がるか(=スランプ値)を計測します。

養生管理

急激な乾燥や低温はひび割れや強度不足の原因となります。打設後は一定期間、湿度と温度を適切に保ち、シートや囲いを用いて乾燥や衝撃からコンクリートを保護します。

ひび割れや強度不足の原因となる「乾燥

コンクリートは乾燥によって収縮する性質があります。そして、セメントや水の量が多いほど乾燥による収縮は大きく、ひび割れの可能性が高まります。
これを防ぐためにも、十分な養生を行うことが品質管理において重要です。

試験・記録

圧縮強度試験や非破壊検査を行い、結果をデータ化します。
記録は建物の品質証明として、竣工後の瑕疵対応や資産価値維持にも役立ちます。

発注者・設計者が押さえておくべき視点

品質計画の事前確認

施工会社が提出する施工計画書・品質管理計画書を事前に精査し、検査方法や写真管理のルール、試験頻度などが明記されているか確認します。

中間検査・立会い

配筋や打設のタイミングで立会い検査を行い、記録を残すことで後々のトラブルを防ぎます。

不具合発生時の対応フロー

補修方法や再検査、報告書提出の手順をあらかじめ取り決めておくと、迅速な是正が可能です。

長期修繕計画と維持管理

躯体工事は竣工時の品質だけでなく、長期修繕計画との連動も欠かせません。
コンクリートは時間とともに中性化や鉄筋腐食が進む可能性があります。
10年周期で外壁補修や防水更新を計画するのが一般的であり、初期の施工記録や配筋写真、圧縮強度試験結果が修繕計画の精度を左右します。
設計段階から維持管理情報を蓄積する体制を整えることが、建物の長寿命化と資産価値維持の鍵となります。

建物の耐久性や維持管理がコストに与える影響

建物を建てる際、多くの人が最初に注目するのは建設費用です。
しかし、建物の経済性を本当に評価するには、建設から最終的な解体までにかかるすべての費用を視野に入れる必要があります。
この総合的な費用を「ライフサイクルコスト(LCC)」と呼びます。

LCCには、建設費に加え次のような費用が含まれます。

  • 定期的なメンテナンスや修繕費
  • 設備更新やリニューアル費用
  • バリューアップ(資産価値向上)のための投資
  • 最終的な解体・廃棄費用

これらは建物完成後に発生するものが大半です。
つまり建設費はLCCのほんの氷山の一角にすぎません。
無駄な費用を抑え、長期的に資産価値を維持するためには、耐久性の高い構造や確かな品質管理が不可欠です。

品質管理とコスト・工期のバランス

「品質を上げる=コスト増」とは限りません。
施工計画段階から以下の取り組みを行うことで、品質を保ちながら工期短縮や総コストの最適化が可能です。

  • 機械化・プレキャスト化の活用
    :工場製作や機械施工で作業を効率化し、人件費を抑えると同時に不良率を低下させます。

先に適切な準備をして後の無駄を防ぎます。初期対応にわずかなコストをかけることで、結果的に全体の費用と工期を削減できるのです。

まとめ

躯体工事の品質は、建物寿命・資産価値・将来の維持コストを大きく左右します。
配筋検査・型枠精度・コンクリート打設・養生管理など、工程ごとの確実なチェックが不可欠です。発注者や設計者も、施工計画の事前確認や中間検査の立会いによって品質保証に主体的に関わる必要があります。長期修繕計画や環境配慮、最新のDX技術を取り入れることで、品質・コスト・持続可能性の三立が可能です。

私たち山上建設は、今回ご説明したRC造だけでなく、WRC造も含め多数の躯体工事を手がけてきました。
経験豊富な施工管理技術者が、配筋検査からコンクリートの打設・養生、記録の共有まで一貫した品質管理体制を確立しています。

私たちは「ただ建てる」だけでなく、建物が長く健全に価値を保ち続けるためのパートナーでありたいと考えています。
躯体工事を高品質かつ優れた耐久性で実現させたい方は、ぜひ山上建設へお問い合わせください。
豊富な実績と培ったノウハウで、安全で価値ある建物づくりとお客様のビジネス計画を推進します。

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