躯体工事で工期遅れが起きやすい現場の共通点。現場監督ができる対策とは

「この確認、まだ返ってこないな……」
「次の工程、このまま予定どおり入れるだろうか」
現場監督として工程を見ていると、このような不安を感じることは少なくないはずです。小さな遅れが積み重なるほど、大きな工程遅延につながってしまう可能性は大きくなります。

この記事では、実際に躯体工事の施工管理を行っている山上建設が、工期遅れにつながりやすい現場の特徴と、工程を止めないためにできることを整理しています。

工期遅れはどこから始まるのか

工程が遅れる理由は以下のようにさまざまです。

  • 工事途中で図面や仕様が変更され、すでに加工した材料を作り直さなければならなくなった
  • 水回り設備のメーカーや仕様が変わり、床の段差や設備の納まりが変更になった
  • 土工事で掘削を進めたところ、その土地の以前の建物の基礎などが地中から出てきたため撤去や処理が必要になった
  • 近隣対応や現場内での事故などによって、一時的に作業を止めなければならなくなった

悪天候による遅れなど、現場ではどうしても防げない場合もありますが、どのような遅れであっても大幅な工期遅延は避けたいものです。そのためには、あらかじめ確認できることは全て把握し、早めに対処するための体制を整えておくことが鍵となります。

工期遅れが起きると現場監督の負担はどう増える?

ひとつの工程が遅れると、その作業だけの日程を変更すればよいとは限りません。工期遅れによって現場監督に生じやすい対応を整理すると、次のようになります。

発生しやすい対応内容
工程の再調整作業順序や施工日の組み直し
手配の変更職人・資材・重機などの予定変更
関係者との調整元請・施工会社・後工程の業者との確認
状況整理どこで工程が止まり、今後どう進めるかの確認

建築工事は複数の工種が連鎖するゆえに、遅れが後工程まで広がるほど、現場監督が確認する相手や調整する負担も重なっていく特徴があります。工程が大きく崩れてから立て直すだけでなく、「このままだと次の作業が止まりそうだ」と感じた段階で迅速に原因を確認することが現場監督には求められてきます。

遅れやすい現場の共通点その1:図面や施工条件が確定していない

たとえば新築における躯体工事の場合、躯体だけを見て施工内容を決められない部分はいくつも存在します。これは、設備や給排水など、その後の工事で必要になるものを考慮しながら施工する必要があるためです。設備配管などを通すためのスリーブの位置が決まっていなければ、その位置に合わせた形に鉄筋を組むことができません。そのため、施工会社はスリーブ位置が分かるまで一部の配筋を進められないまま、設備側や設計側の判断を待つ状態になることがあります。つまり、一つの未決定事項が次の作業を止める可能性があるのです。

図面や施工条件が未確定な現場

遅れやすい現場の共通点その2:担当者の入れ替わりや引き継ぎが多い

現場監督の変更自体が、必ずしも工期遅れにつながるわけではありません。注意したいのは、担当者が変わった際に、

  • すでに決まっている内容
  • 現在確認している事項
  • 誰からの回答を待っている状態か

といった情報が十分に引き継がれていない場合です。これでは新しい現場監督が、関係者と「どこまで進んでいるのか」「これは決まっているのか」と、前任の現場監督がすでに行った確認を再度行う必要が生じます。これによって情報伝達が滞り、認識のすれ違いの発生につながる可能性が高まります。また、施工会社側も必要な情報が得られず、次の作業日程や手配を確定できなくなるため、遅れにつながりやすくなります。

遅れやすい現場の共通点その3:誰に確認・判断を求めるかがあいまい

たとえば、施工会社から質疑があっても、

  • 質疑に答えられる人物は誰か
  • 元請担当者で判断し回答すべき内容か
  • どの担当者に相談が必要かどうか
  • 設計者まで確認が必要なのか

などの確認がその都度行われたり、判断に時間がかかってしまったりすると、施工会社の作業開始までの時間も増えてしまいます。これは質疑に限られた話ではありません。「この内容は誰に確認すれば決まるのか」が明確ではない現場では、あらゆる問題点や確認事項が生じる度に判断に迷い、タイムロスが発生しやすくなるのです。

工期遅れの兆候を感じたら確認したい4つのポイント

工程の遅れを感じたら、まずは原因と影響範囲を整理し、次の対応につなげるために以下の4点を確認してみましょう。

1. 次の作業に進むための未決定事項がないか

スリーブの場所など、たった一つの不明事項だけでも、工事が停滞する可能性は低くありません。図面と現場状況を照合し、決定事項とそうでない部分を洗い出し、次の作業を止める可能性があるものから優先的に確認します。

2. 誰の判断・回答待ちで止まっているのか

どんな現場でも、誰に何を聞けば分かるのか・進められるのかといったことがあいまいなままだと対応が滞り、現場も止まりやすくなります。誰に確認していて、現在どの段階まで進んでいるのかを元請側だけでなく現場全体で明確にしておくことが大切です。

判断待ちで止まっている現場

3. 遅れがどの後工程まで影響しそうか

たとえば鉄筋工事が予定より遅れた分、その後に予定している型枠工事の開始時期もずれ込むため、新たに作業日程を計画し直す必要が出てきます。現在遅れている工程だけでなく、その先の工程や作業予定について、どこまで調整が必要になりそうかを早めに把握できるような体制が必要です。

4. 次工程に必要な図面・仕様・設備情報がそろっているか

具体的には、次のように確認したいポイントを整理していくと、どこに未決定事項が残っているのか、何から先に調整すべきかを把握しやすくなります。

確認する情報確認したいポイント
最新の図面最新版が共有され、変更箇所が反映されているか
施工仕様・納まり次工程で必要な仕様や納まりが確定しているか
変更・質疑への回答次工程に関係する変更事項や質疑に未回答のものがないか
確認・判断先未決定事項について、誰に確認すれば決まるのか

工期遅れを広げないために現場監督ができること

工期遅れの原因が分かった後は、現場監督だけですべてを解決するのではなく、施工会社や関係業者と連携しながら、判断や調整を前に進めていきます。

定例会だけでなく、判断が必要な相手に直接確認する

現場によっては、関係者が集まる定例会が月1~2回程度あります。しかし、次の定例会まで待っている間にも工事は進みます。工期遅れの兆しや原因を整理した結果、施工会社や設計者など特定の関係者からの回答が必要だと分かった場合は、定例会まで持ち越さず、電話やメールなども使いながら早めに判断を進めると安心です。以下は連絡・確認タイミングの一例です。

状況連絡・確認の頻度の例向いている連絡方法
工程に直接影響しない確認事項がある月1〜2回程度定例会で直接確認、メール
次工程までに回答が必要な内容がある作業開始の1週間前〜3営業日前メール、電話、直接確認
すでに作業が止まっている・止まりそう判断した当日+随時電話、直接確認、必要に応じてメール

判断を早めるための選択肢を施工会社と整理する

工期遅れへの対応を施工会社に一から検討してもらう場合と、現場監督側で対応案の候補を整理したうえで相談する場合では、次のアクションを決めるまでの時間が大きく変わります。基本的には、施工会社に「どうしますか」と判断を依頼するだけでも問題はありません。しかし、とくに急ぎの対処が必要な場合は、現場監督側でも、施工会社や関係業者から得た情報を整理し、

「この方法で進めることは可能か」
「この納まりであれば問題ないか」

といった形で、判断しやすい選択肢を示して相談することが、迅速に対応を決めやすくなります。

現場監督側から施工会社への提案や相談

工期遅れを防ぐには「決まっていないこと」を早めに解消する

躯体工事の工期遅れには、地中障害や作業中の事故など、事前には予測しにくい原因もあります。

一方で、図面や施工条件の検討不足、引き継ぎ不足、確認先が分からないまま回答を待っている状態など、早めの確認や調整によってリスクを減らせる場合も数多くあります。

工程を確認するときは、予定日だけでなく、「次の作業を止める未決定事項はないか」という視点を持つことが重要です。

現場監督と施工会社がそれぞれ指示待ちになるのではなく、必要な情報を先回りして確認し、決めるべきことを一つずつ解消していくことが、工程をスムーズに進めることにつながります。

執筆:春日燦(IT事業部)
監修:岩里哲徳(施工管理部 1課 課長)

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