躯体工事の価格差はどこで生まれる?発注前に確認したい比較ポイント

複数の躯体工事会社から見積を貰った時、同じような工事内容に見えても、会社によって金額に差が出ることがあります。

一番安い見積の会社に発注しても問題ないか。
高い見積には、どんな理由があるのか。

ゼネコンの発注担当者としては、単なる見積金額の違いだけで依頼先を選定することが難しいと感じる場面があるのではないでしょうか。工事全体の品質や利益を意識する立場であれば、しっかりと説明できる根拠を持って判断したいと思うのは自然なことです。

この記事では、躯体工事における価格差がどこで生まれるのかを整理し、元請として発注判断の際に押さえておきたいポイントを解説します。

同じ躯体工事でも発注先によって価格差が出るのはなぜ?

その躯体工事会社の規模

躯体工事を引き受ける施工会社の規模が大きくなるほど、人員体制や事務所、管理部門などを維持するための経費が大きくなります。その分、工事の見積金額に反映される費用が増えることがあります。

躯体工事会社の受注状況

また、仕事量の多い・少ないも価格に影響しています。普段から受注している案件が多い躯体工事会社は、無理に価格を下げてまで案件を取りにいかない傾向があります。反対に、仕事量が少ない時期には、稼働を確保するために金額を抑える工事会社も存在します。

躯体工事会社の対応範囲や条件の違い

工事会社の見積に「躯体工事一式」と書かれていても、実際に含まれている対応範囲は会社によって異なる場合があります。たとえば、施工だけを中心にした見積なのか、工程調整や品質管理、写真記録、関係業者との調整まで含めた見積なのかによって、価格の意味は変わります。

安い・高いだけで躯体発注先を判断しにくい理由

躯体工事の施工会社を比較するとき、見積金額は判断材料にはなりえます。しかし、ここで大切なのは、価格の違いだけではなく、その価格に見合ったメリットが発注側にあるかどうかを判断することです。

発注業務では、その判断の根拠を取引先や社内の人物に説明できるかも重要です。社内の人件費や現場管理の負担まで含めて考えたときに、その工事会社に依頼することで発注側のどのような負担が軽減されるのか、どれくらいのコスト削減につながりそうか。このような点を把握しておくことで、発注判断の根拠が、「安かったから」「高い分品質が良さそうだから」というだけでなく、その先のコストパフォーマンスまで意識した納得感のあるものに近づきます。
まずはコストや品質など、躯体工事を外注する上で施工会社に何を求めるかを整理することから始めてみましょう。

安さ重視で躯体工事会社を検討する場合の注意点

予算との兼ね合いから、安い見積を出している会社が発注先の選択肢に入ること自体は自然なことです。大切なのは、安くできる理由や、元請側で担う必要がある範囲を事前に把握したうえで発注判断を行うことです。

安い=品質が悪いとは限らない

価格は施工会社の規模、得意な工事内容、受注状況、対応範囲などによって変わるものです。前述のとおり、タイミングや案件条件によっては、通常よりも価格を抑えて受注する躯体工事会社もあります。

そのため、安い見積を見たときに、必ずしも品質が悪いのではないかと決めつける必要はありません。大事なのは価格の妥当性を発注前に確認することです。

価格を下げるために削られている要素がないか確認する

場合によっては、施工管理、関係業者との調整などといった施工会社の対応範囲が限定されているために見積が安くなっている可能性があります。

安い躯体工事会社への依頼を検討する際は、価格を下げるために、何が見積から外れているのかを把握しておくと発注判断の安定につながります。

発注後の追加依頼による価格の変化に注意する

会社同士の認識のズレによって、発注後に追加費用が発生するケースがあります。たとえば、発注側は「左官補修まで対応してもらえるだろう」と考えていた一方で、施工会社側は「そこはうちの対応範囲に含まれていない」と認識していたケースです。この場合、発注段階の見積は安くても、いざ工事が始まった後に発注側で「これもお願いしたい」といったことが増え、その分の追加費用が積み上がっていきます。
これは、躯体会社と発注側で、両者の管理範囲や責任範囲を発注前にすり合わせておくことで防ぐことができます。

発注の出し方によって価格差を比較する見え方が変わる

躯体工事の価格差を考えるうえでは、分離で発注するか一式で発注するかによって現場全体にかかるコストの構造が変わることを理解しておくことも大切です。
分離発注では、発注担当が鉄筋、型枠、コンクリート打設などを工種ごとに個別に手配するため、外注費全体としては抑えられる可能性があります。しかし、施工管理などは発注側で行うことになるため、発注側の業務量自体は増加します。
一式発注は、各工種の施工をまとめて一社に依頼するため、その分外注費としては高く見えやすくなりますが、発注側の業務負担は減らせます。

一式発注分離発注
発注方法躯体工事をまとめて依頼する工種別に業者に依頼する
価格高く見えやすい抑えやすい
施工管理施工会社側に広く任せられる元請側で担う場合が多い
元請側の人件費抑えやすい管理・調整に人件費がかかる
工程調整施工会社側に任せられる元請側で調整する
品質確認・写真記録対応範囲に含まれる場合がある元請側で確認・管理する必要がある
向いているケース管理・調整・記録まで任せたい場合自社で施工管理できる体制がある場合


どちらの形式で発注するのが正解、という話ではありません。大切なのは、躯体工事を発注する上での優先順位を持っておくことです。コストを抑えることを優先するのか、自社の業務負担を減らすことを優先するのか。これらを発注前に社内で整理しておくだけでも、価格差を比較する際の解像度が上がります。
ちなみに、山上建設は一式で躯体工事の施工に対応しています。施工図の作成から施工管理、検査報告まで、発注者様の業務負担削減ができる管理体制を整えています。

発注前に確認したい躯体パートナーの見積確認ポイント

一式か発注か。もらった見積にどのような内訳があるか。これらを把握するほか、必要に応じて工事会社に以下のような項目を確認してみましょう。価格差の理由を整理し、発注先を比較検討する際の判断材料を具体的にしやすくなります。

発注判断における価格差への考え方

躯体工事の価格差は、単純な施工単価の違いだけで生まれるものではありません。施工会社の規模や受注状況に加え、工事対応範囲、施工管理、品質確認、写真記録、関係業者との調整など、どこまでの対応を施工会社に任せるかによっても変わります。

安い工事会社が悪いわけではなく、かといって高い会社が必ず良いとも限りません。重要なのは、価格の裏にある条件を整理し、自社や取引先にとって妥当な発注先かどうかを判断することです。
見積金額だけでなく、発注後の管理負担や現場の成立性まで含めて比較することで、コストと品質のバランスを踏まえた発注判断につながります。

この記事が、ゼネコンの発注業務担当者の方にとって、納得のいく躯体工事発注先を選定する一助となれば幸いです。

執筆:春日燦(IT事業部)

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